突然の非日常

気が付けば所沢に居た。本当に、真剣に、神隠しにあったのかもしれない。


昨日は友人3名と大宮で食事をした。その後確か19時ごろにお開きとなり、うち1人の帰る方向が同じだったので途中まで一緒に帰ることに。

JR大宮駅。電車がちょうど来ていたので、我々は足早に湘南新宿ラインへ乗り込んだ。

東京は花粉がひどい。友人も私も花粉症、車内は程よく空いていて、さらに座った椅子はちょうど良く暖房が効いており、眠気メーターがMAXを振り切る条件は揃っていた。



ガタンゴトン、ガタンゴトン。

ああ、気持ちいいなあ。


ふと電車のアナウンスが聞こえてきた。

「次は〜東所沢〜東所沢〜」




……………………!?



一瞬で眼が覚める。
所沢?所沢って、あの所沢?いやどの所沢だよ、なんとなく遠いってことは分かるけど実際地図上のどの辺りなのかさっぱりだぞ。

友人を叩き起こす。
慌てて電車を降り、地図を確認し愕然とする。「家まで、1時間40分かかる…。」


……こんなことある?東京ですよ????


ここから1時間40分かけて帰るのか、と肩を落とし、反対方面の電車に乗ろうととぼとぼ歩き出したところで、ふと思い出したことがあった。

「所沢って、有名な温泉なかった?」







40分後には、月を見ながら露天風呂に浸かっていた。


良い。すごく良い。
さっきまで都会の喧騒に揉まれて居たのに、今はこんなに夜風が気持ちいい。サウナとかやっちゃって、自律神経も整えちゃって。


1時間ちょっと温泉を満喫して、ホカホカになった友人とふたたび合流した。そうそう、友人は男性なのだ。

日曜の22時すぎだというのに、併設された食堂は満席に近い。タコ焼き、ゲソ、枝豆、生ビールを頼む。

最高だ。最高すぎる。ビールが美味すぎる。

ほろ酔いの友人は口を開く。
「このシチュエーション、まだ付き合ってない好きな子とやりたい。帰りたくないねーなんて話して。そんであわよくば終電逃しちゃったりして。」

100万%同意だ。なんで横にいるのが貴様なのだ。






それにしても、突然訪れる非日常がこんなにテンション上がるとは。

これからは積極的に、神隠しにあって行こうと思った夜だった。