人体

飲みすぎた。

今日はワインをしこたま飲んだ。


頭痛と吐き気で目が覚め、こんな時間にこうしてブログをしたためている。(ただいまAM5:48)



と言うかここはどこだ?そうか友人宅だ。頭が痛い。水。とにかく吐いてスッキリしたい。




人体というのは不思議なもので、吐きたいと思えば喉に指を突っ込むだけで胃から物が逆流する。これまで当たり前の認識で生きてきたけど、改めて考えると面白すぎぬ?自動販売機かよ。





スッキリしたので、寝ます。

車の話

車が好きだ。

ひとつ前の記事で原付が好きだと書いたが、原付の7倍は車が好きだ。


車の場合、外がどんなに暑かろうが寒かろうが、自分にとって最も快適な温度で目的地まで移動できる。

「東京の夏なんてへっちゃらって感じ?」
これ。沖縄出身だと伝えると、3人に1人の確率で言われるこれだ。そんなことない。だって暑かろうが寒かろうが移動は車なんだから。東京の方がよっぽど暑い。そして馬鹿みたいに寒い。それなのに外を歩かねばならない。ものすごく理不尽だ。




私の思う車の良さはもう一つある。乗れば勝手に音楽が流れ、そして好きなだけ歌えることだ。毎日の職場への往復も、音楽収集の時間及びカラオケの時間となる。全くもってストレスにならない。
東京へ来てから、一人カラオケに行くようになった。あと、音楽を聴く時間が減った。意識的に音楽を聴かねばあっという間に疎遠になってしまうことに気付き、改めて車生活の良さを感じた。



例に倣って発表すると、私の車デビューは18の頃だった。勉強もせず自動車学校へ通い、もちのろん校則で禁止されていた普通免許を取得した。
当時お付き合いしていた年上の恋人の車を借り、その恋人を助手席に乗せて練習し倒した。今になって考えると、命と車を預けていただき誠にありがとうという気持ちだ。



これは私サイドによる勝手な定義だが、運転が上手いということは具体的にこういう事だと思う。
・正確な車体感覚
・前後左右の車に迷惑をかけない
・危険察知能力がある
・乗ってる人が心地よさを感じる
・駐車がスムーズ

以上だ。今までこれを話して異論を頂いたことはないので、これで行きましょう。世間。そこそこ著名で発言力のある人、希望としてはくるり岸田繁あたりに公言していただきたいところだ。

ちなみに私はこれをオールクリアしているので運転センスはよい方だと思っている。



年上の彼は私が19の頃に新しく車を買った。それに伴って、練習として使わせてもらっていた先述の車を私にくれた。年数も走行距離もかなりいっていたが、初めてのマイカーとなったうす緑のワゴンR。それはそれは嬉しかった。


確か20歳の頃。一年ほど乗ったうす緑のワゴンRとの別れは、突然にやってくる。

病院に勤める彼を迎えに行く時にそれは起こった。その日はもの凄いどしゃ降りだったので、いつもとは違って病院の正面入口へ車をつけた。その瞬間だった。「プスン」というなんともコミカルな音を出して、車が見事に停止したのだ。キーを回すと、キュルルルというさも頑張ってます感は出すものの、エンジンがまったくかかってくれない。
場所が病院の正面玄関なだけに、即座に移動させないとマズい。
幸い彼が車に詳しかったので、あれよあれよといった具合に応急処置でエンジンをかけ、邪魔でない場所まで移動。そのままレッカー車を呼び、うす緑のあの子は御陀仏となった。

突然の別れ。特に必要は無かったのだが、廃車となる当日は工場へ出向き、最後のお別れをした。ちょっと泣いた。



その後新車を購入し溺愛することとなるのだが、ここまで来て気付いたことがある。
私はあまり物に対する執着や拘りのない方だが、車輪のつく物に関してはどうしても我が子のような愛情を持ってしまうようだ。

そして新車を購入した半年後に東京へ引っ越すこととなるのだが、頑なに「売らない!!!」と半泣きで言い張り、母親と揉めに揉めた。


新車で購入したうす緑のスペーシアちゃんは、今も実家の駐車場に停まっている。

原付の話

私の出身沖縄県という絶対的車社会において、車輪のつく物の免許証はパンティと同じくらい必要である。


私の車輪デビューは16の頃だった。私立のお嬢様学校に通う私は抑えきれない青春的衝動に駆られ、誕生日を迎えたと同時にもちろん校則で禁止されている原付の免許証を取得した。


高校に入ってすぐぜんざい屋でアルバイトを始め、そこで毎日モチを食べながら貯めた僅かなお金を握りしめて、中古の原付屋へ向かった。

スクーピーというベタにベタを重ねた原付に一目惚れして即購入。
白と茶色の可愛いそいつは、その日から私の相棒となった。反抗期の弟が私と会話をしてくれない分、スクーピーに話しかけた。それぐらい愛していた。


原付はいい。風が気持ちいいし、何より等身大な感じがたまらないのだ。


海、山、川、滝。色んなところへ行った。その頃から音楽に関するアイデンティティが確立されつつあったこともあり、「家以外のどこか」へ行き感傷に浸るのにはちょうど良すぎた。



夏。ぜんざい屋を辞めアイスクリーム屋でのバイトに勤しんでいた私は、半袖のシャツに膝上のアームカバーを着け原付で通っていた。そのスタイルでいくと、アームカバーとシャツの僅かな隙間が日焼けする。元がかなりの色白なので、その変な焼け跡がとても目立った。行く先々で聞かれ、「あ〜これ?原付でさ〜笑」とニヤニヤしながら答えていた。この感じを何かに例えるとすると、猫を飼っている人間が「飼い猫にやられてさ〜笑」と引っ掻かれた跡を自慢げに話す様に瓜二つだ。


最終的には18で普通免許を取得しあっさり売り払ってしまったのだが、原付のおかげで高校生にしてはかなりアクティブな三年間を送れたと思う。
そこで身についたフットワークの軽さ、腰の軽さは現在東京の地ですこぶる生きている。友達100人できたよ、ありがとうスクーピー

ヨガ女が嫌いだ

いいな、と思っている男性と飲んだ。笑うと目の無くなる、賢くていい男だ。


今日この席でもっと彼のことを知って、本当にフィーリングが合うと感じたらお付き合いを考えたい。そんなことを考えていた。



前に付き合っていた男は最悪だった。それなりに異性を見る目はあるつもりだったのだが、初めて失敗を経験した。それ以来私は、恋愛に対して慎重になってしまった。





この人と二人きりで飲むのは二度目。恋人が居ないことは分かっている。

探り箸のように、前回よりは割と踏み込んだ会話が続く。



どんな人がタイプ?

聞いたところでどうしようもない質問を投げてみる。


好きになった人がタイプかなあ。

案の定どうしようもない答えが返ってくる。


普段の会話の中で、愚痴やネガティヴな話題はなるべく出さないようにしている私だが、こんな答えが返って来ては。今晩ばかりは、と思い、続けて聞いてみる。



じゃあ、苦手なタイプは?


男はうーんと唸り、5秒程の間を置いて、


「ヨガが好きな女かな」


と言った。





星野源、"恋"のイントロが盛大に流れ始めた。

ピン札と恋に落ちる

金曜の昼。今夜飲むのに少し手持ちが足りないな、ついでに明日から一週間帰省だし5万くらい下ろしとくか。そんなことを考えながらコンビニへ向かった。

いつものスリーエフ。いつものATMで流れ作業を終えようとしていた私に、予想していなかったものが目に飛び込んだ。


ピン札だ。

う、美しい。なんて美しいんだ。


ピン札は何故こんなにも私の心を乱すのか。お高くとまって居る綺麗な女と言うよりは、大切にしてあげたい箱入り娘のようなあの感じ。誰にも触れられたことのない、言ってしまえば処女が一糸纏わずそこに居るような。処女厨の気持ちちょっとだけ解るぞ。というか処女厨って一発で変換出来ちゃうのまずいだろiPhone

ハダカの処女と、体感時間としてはしばらく、実際は2秒くらい見つめ合った私は、「さっさと取れよ」というATMの怒りの機械音に正気を取り戻した。慌てて彼女を財布へ滑りこませる。

ピン札が5枚。今夜の飲み代のために崩すのがなんだかもったいない気がして、あと7千円下ろした。処女が7枚そこにいた。

ワキガの女

きっと誰しも「好きな人間」と「嫌いな人間」が存在する。書いた直後に逃げ道を作るようで悪いが、私は割と人を"嫌い"というほどに嫌いにはならない。改めて言い直すとすれば、「好きな人間」と「苦手な人間」でカテゴリーを分けている。


以前、郵便局の仕分けシステムの映像をテレビ番組で見かけた。ベルトコンベアーで運ばれてきた荷物たちを、容赦無く、激しめに仕分けしていくその様に、何故だか涙が出そうになった。彼ら(荷物)は何も悪くないのに。そういった気持ちになった。

私はきっと、限りなく"やさしい"に近い心の持ち主なので、その「苦手な人間」フォルダに振り分ける時ですら、かなり申し訳ない気持ちでドラッグ&ドロップする。

そんな私が、だ。問答無用、平手打ちで「苦手な人間」フォルダへぶち込む人種がいる。それが、ワキガだ。それはもう郵便局の仕分けシステムばりに無慈悲に、だ。


人間誰しも、ワキに汗をかけば多少は臭いを放つものだろう。私だってそうだ。そんなの大いに分かっている。


しかしなワキガ、お前だけは許せないんだ。


私とワキガのエピソードを話すとしよう。

10代後半の頃、かなり頻繁に足を運んでいた古着屋があった。常連客の多い店で、当時の客はほとんどが顔見知りだったと思う。その中に一人、アラサーの古株女が居た。アラサーの古株女なんて嫌な書き方をしたが、家が近かったこともありすごく良くしてくれた。


が、その女が、ワキガだったのだ。

店に来ると、先に臭いで気付くレベルの。


しばらくは耐えた。初めて本物のワキガに遭遇したうぶな私は、どうすれば良いか分からなかったのだ。さらには10歳ほど歳上、店が出来た頃から通い詰めている、言うなればその店カーストの頂点に君臨する者。指摘なんて出来るはずもなく。


最終的にはその臭いが染み付いてるような気がして、店に行くことすら拒否反応が出るようになってしまい、断腸の思いで徐々にフェードアウトした。



割と最近の話になるが、その店で知り合った友人たちと5年振りに食事をした。


どうやら彼女、結婚したらしい。

当時から付き合っていた恋人と。


わあめでたいね、とふわっとしたリアクションが飛び交う中、一人が口を開いた。

「今だから言えるけどさ、彼女、臭いキツくなかった?」

全員が一瞬固まった後、土石流のようにワキガへの愚痴大会が始まった。なんだ、みんな同じ事思ってたのか。やっぱりみんな、クイーン・ビーもとい一軍のボスに何も言えなくて苦しい思いしてたのか。


一通り喋り倒して解散になり、帰り道が同じ子ととぼとぼ歩いていた。二人ともなんだかすごく疲弊していた。


その子の家が近づいた時、ぽつりぽつりと話してくれたことをほとんど一言一句覚えている。

ワキガの彼女にはとても良くしてもらっていたこと、でも私と同じように耐えられずフェードアウトしたこと、疎遠になってしまったみんなとまたこうやって会えて本当に嬉しかった、と。


その子の笑顔を見て、私の中で本件の解答が出た。ワキガは、周囲を、不幸にする。


怒りと悲しみがふつふつと沸いてきた。確かにすごく良い人で、みんな感謝している。でも、彼女の持つ"ワキガ"という属性一つでコミュニティを壊されたこと、それは紛れも無い事実だ。

つーかあんたの旦那、ワキガ気にならないのかよ。つーかあんたの旦那、出会い系で会った女と援交しまくってるってもっぱら噂だったぞ。大丈夫かよ。


「親でも殺されたのか」という例えがあるが、正直それとなんら変わらない。それぐらい恨んでる。彼女をというよりは、ワキガという属性にだ。私たちのユートピアを崩壊させた、ワキガにだ。




そんなことがあって以来、周囲を不幸、まではいかなくとも、モヤっとした気持ちにさせる、あのモワっとした臭いに平手打ちをかます人生となった。


ワキガ、無理!!!!!

普通の失恋に成り下がる

以前勤めていた会社の、先輩二人と会った。

一年振り。かたやいつの間にか離婚していて、かたや男勝りで男日照りだったのに恋人と同棲を始めていた。一年で色々あるもんだな、と他人事のように考えていたところ、脳天を貫くような報せを聞かされた。

当時ぼんやり好きだった先輩が、デキ婚したらしい。

彼について思い出すとしよう。
彼はある日私のチームにやってきて、統括の立ち位置に入った。普段全くと言って良いほど笑わない、そして誰とも群れない一匹狼のような人だったのだが、仕事が出来、それに対する姿勢も好みだった。

ひょんなことから音楽の趣味が合うことを知り、他の人の知らないところで少し、ほんの少し仲良くなった。

こんなの好きにならないはずがない。背が高くて猫背なところ、綺麗な指先、実はお酒に強くないところ。愛おしくてたまらなかった。

しかし、彼には恋人が居たのだ。しかも社内恋愛。お相手はこれまた美人で仕事の出来る方。

好きになってはいけない、そう思っていたのであくまで「ぼんやり好きだった」という言い方を選んだ。もちろんアプローチなんて出来るはずもなく、彼がチームへやってきてから約一年後、私は退社することになる。

送別会を開いていただいた。

一通り楽しみほどよく酔った私たちは、合わせて五名ほど相乗りして車で送ってもらうことに。

私と、彼と、お酒を飲んでいない運転手の三人が残り、先に彼の家に着いた。

助手席に座っていた私は窓を開けて、ありがとうございました、とだけ伝えた。

彼は、聞こえるか聞こえないかくらいの声で、「頑張って下さい」と言いながら、頭をポンポン、としてくれた。

あ、気付いてたんだ。



彼との思い出はそれくらいなのだが、綺麗すぎる、優しい失恋に胸がじんわりしたことを強烈に覚えている。


そして、話は冒頭に戻る。

その彼が、デキ婚したのだ。社内恋愛の、あの彼女と。


私にとっては聖域のような思い出というか人物というかそのようなものだったのに、やる事やってた事実を唐突に突きつけられて(いや当たり前だし誰も何も悪くないんだけど)、美しかった思い出が急に生々しく崩れ落ちた感じがした。

なんか、普通の失恋になってしまった。